弊所主催イベント「大学共通科目の理念と学部横断的歴史教育の実践——「一生もの」を手に入れる国立成功大学全学必修科目「踏溯台南」の経験から」開催のお知らせ

日時:2023年10月22日(日)14時00分開始(13時30分開場)
会場:東京大学駒場キャンパス 18号館4階 コラボレーション1(早稲田大学での開催ではありませんのでご注意ください)
※オンライン配信の予定はありません。
講演者:陳玉女(国立成功大学副学長・歴史学系教授)
講演題目:「大学共通科目の理念と学部横断的歴史教育の実践—「一生もの」を手に入れる国立成功大学全学必修科目「踏溯台南」の経験から」
参加費:無料(申込不要)
言語:日本語

今回は、成功大学副学長で歴史学系教授の陳玉女先生をお招きし、「大学共通科目の理念と学部横断的歴史教育の実践—「一生もの」を手に入れる国立成功大学全学必修科目「踏溯台南」の経験から」と題してお話しいただきます。今年7月に九州大学で開催し大好評だった国際教育フォーラム「台南を歩く、台湾を考える—台湾教育旅行の構想と実践」に続いて、「踏溯台南」の魅力を定例研究会(東京)でもお伝えできることになりました。
大学での学生のみを対象とする閉じた教育ではなく、地域をフィールドとし、住民と開かれ交流を生み、現在では嘉義や新竹にまで実践例が広がる、いま台湾で注目を集めるプログラムはいかに実現できたのか。研究と教育、そして地域をつなぐその手法を共有していただきます。
会員のみなさまは、大学で台湾研修旅行を実施、あるいは高校の台湾修学旅行の事前・事後指導を担当なさることもあるかと存じます。秋のお忙しい時期ではございますが、ぜひこの機会をお役立ていただきたく、多くの皆様のご参加をお待ちしております。

【発表要旨】
古都台南は台湾を代表する文化都市であるとともに、17世紀に台湾が世界貿易システムに組み込まれて以来の重要な経済的拠点でもある。また、先史時代及び先住民社会の人々の豊かな生活の場でもあり、長い歳月の変化を経て、他に類を見ない歴史と多元的な文化の伝統を有している。台南に位置する成功大学は、2017年度に全新入生を対象とする必修教養科目「踏溯台南(台南を歩きながら考える)」を開設した。この科目は、豊かな文化資産と歴史空間を誇る台南の街を、成功大学の学生が重要な学びの「養分」を得るフィールドに転化させようという試みである。郷土の歴史家、文化的組織、伝統/新興産業など、地域コミュニティのステイクホルダーの協力を得て、約3千名の新入生がフィールドに足を踏み入れて地域の文化を深く理解し、街の息遣いや脈動を肌で感じながら、地域へのアイデンティティを育んでいく。「一生もの」を手に入れる「踏溯台南」には、決まりきった教科書や時代遅れの教室空間は不要であり、「脱領域」的な素養と広い心構えを持ち、あらゆるフィールドに向かい、いつでもどこでも取材をし、今いる場所や故郷、あるいは社会と自分の関係を心ゆくまで探索する。自ら歩いて探索する精神さえあれば、どんな場所にいても、周囲の存在と自分との関係に注意を払い、感性と暖かさを持つ人になれる。現在までに、同科目はすでに41の「踏溯台南」ルートを開設しており、その内容は多彩である。現在では成功大学の学生だけでなく、教職員や地域住民も参加し、一緒に探索ルートを歩き、地域のことを考えている。

主催:早稲田大学台湾研究所
NPO法人日本台湾教育支援研究者ネットワーク(SNET台湾)
共催:日本台湾学会
JSPS科研費 基盤研究(C) 21K12401 (研究代表者:田原史起)
JSPS科研費 基盤研究(C) 20K02615 (研究代表者:山﨑直也)