本研究所では現在、3つの研究プロジェクトに基づき研究活動を行っております。
それぞれの概要、活動内容は下記の通りです。

1.「現代台湾政治」研究プロジェクト

研究代表者: 若林正丈
研究期間: 2015年4月~
研究概要:
台湾研究所は、第二期の研究プロジェクト「台湾政治研究—選挙、アイデンティティ、利益」において、若林正丈教授を研究代表者として、現代台湾政党政治の形成史、政党内部構造、選挙政治研究の三つの側面から、台湾政党政治・選挙という政治過程に表出され争われるアイデンティティの政治と利益政治の様態を明らかにしてきた。第三期では、第二期の成果を踏まえつつ、東アジアの地域的安定に資する日台関係の構想を見据え、21世紀における新しい日台関係のあり方について、日本だけでなくその他の東アジア・アメリカの諸研究機関との共同研究などを進めつつ、ワークショップ等を通じて創造的・積極的な提言・フィードバックを行ってきた。本プロジェクトの研究成果はシリーズ講演「台湾政治外交研究の課題」で公開され、2014年に若林正丈編『現代台湾政治を読み解く』(研文出版)として刊行された。また、本プロジェクトの一環として、若林研究員が研究代表者、小笠原欣幸招聘研究員および松本充豊招聘研究員が研究分担者として入り、科学研究費基盤研究(B)「台湾政治体制移行期の民主進歩党」を獲得、その第一年度である15年度は、⑴小笠原研究員による研究発表(7月)が行われた。この間、小笠原研究員を中心に、現代台湾の選挙研究も行われ、14年から15年にかけて「2014年台湾統一地方選挙の分析」や「台湾総統選挙・立法委員選挙の分析」などが台湾研究所主催のワークショップとして開催された。

2.「現代台湾政治思想」研究プロジェクト

研究代表者: 梅森直之
研究期間: 2009年4月~
共同研究機関: 中央研究院台湾史研究所
研究概要:
2009年4月より現在まで、本研究所は「現代台湾政治思想の可能性」研究ユニットを立ち上げ、研究代表者である梅森直之教授のもと、共同研究機関として中央研究院台湾史研究所に協力を求め、民主移行期もしくは民主移行後の現代台湾政治思想を研究対象として、その思想史的意義を東アジアとグローバルなコンテクストの両面から解明することを目的に掲げ、国外の研究機関と共同研究を行うとともに、シンポジウムや講義などの形でのフィードバック成果のプロジェクトを進行してきた。第三期には、これまでの研究成果として得られた台湾政治思想や移行期正義に関する台湾の経験に関する知見を踏まえつつ、テーマを日本も含めた東アジアの歴史的和解の問題に発展させ、台湾の視点から地域の和解・平和と安定の推進に資する提言を行っていくことを目標に、本研究所が築いてきた国内外の知のネットワークの活用・協働によって、理論及び実践の共同研究を進展させてきた。2013年より、台湾における歴史的和解についての理論と実践の基盤研究として、「移行期正義」に関する国際シンポジウム「過ぎ去ろうとしない過去?-東アジアにおける移行期正義と継承責任」(アジア研究機構第11回国際シンポジウム、2013年11月10日)を開催し、第2セッションでは台湾中央研究院・呉叡人氏を招聘し「〈声〉なき衆生を救い、過去を贖う:一台湾人から読み直される村山談話」と題する報告・討論を行った。

3.「日台関係史基礎知識の整理」プロジェクト

研究代表者: 春山明哲
研究期間: 2009年4月~
研究概要:
台湾研究所は、第二期共同研究プロジェクトとして、2009年より「台湾史研究・教育のための必要資料の調査」研究ユニットを立ち上げ、春山明哲客員上級研究員を研究代表者として、日本国内の台湾史研究者と連携しながら資料調査等の研究活動が行ってきた。その成果フィードバックの一環として、そして2013年7月よりワークショップ(「台湾史研究の回顧と展望」シリーズ)を始動し、より広く社会にフィードバックしていくために、台湾史研究・教育のための日本史資料集の編纂・刊行を行ってきた。