所長挨拶

早稲田大学台湾研究所は、日本における台湾研究・教育の拠点となることを目指して、2003年10月に発足しました。以後、本研究所は、台北経済文化代表処をはじめとする関連諸機関の積極的な支援と協力をうけながら、日本・台湾・世界の研究者と連携しつつ、本学を中心に、グローバルな視点に立った研究・教育活動を展開しています。

台湾研究所は、教育活動として、早稲田大学グローバルエデュケーションセンターにおける副専攻「台湾研究」を運営しています。本プログラムは、全学の学部学生を対象に、体系的な台湾研究のカリキュラムを提供し、台湾に理解のある人材を育成することを目的に、2009年4月より開講しています。本研究所が指定する必要単位数を取得し申請すると、全学副専攻台湾研究修了証明書が授与される仕組みになっており、これまで多くの学生が本プログラムを修了し、多様な分野で活躍しています*。また台湾研究所は、複数の台湾の大学をパートナーとする学生交流プログラムも、積極的に実施・支援しており、東アジアの次世代ネットワークの構築にも、積極的に取り組んでいます。
*https://www.waseda.jp/inst/gec/undergraduate/minor-2/

さらに台湾研究所は、研究活動として、さまざまな共同研究プロジェクト、ワークショップやシンポジウムを企画・運営しています。台湾研究所は、とりわけ次世代の台湾研究の担い手の育成に注力しており、全学の大学院生を対象とする講座を開設・運営するほか、さまざまな若手研究者支援のプログラムを充実させてきました。。現在の台湾に関連する多くの問題を理解し、その解決を模索していくためには、グローバルな視座と深い歴史的な洞察が必要とされます。本研究所では、内外の研究者の交流の拠点として、世界的な台湾研究のハブとなることをめざします。日本における台湾研究を拡充し、またそのための人材を育成することが、東アジアの平和と繁栄につながることを信じ、今後も、日本の、そして世界の台湾研究の拠点となれるよう全力を尽くしてまいります。

これまで日本における台湾研究は、もっぱら「地域研究」として発展してきました。別言すればそれは、台湾を知ろうとする日本の研究者と、日本を知ろうとする台湾の研究者の交流の場であったということになります。しかし現在の変わりゆく日台関係は、単にお互いを知るだけでなく、日台の研究者が、ともに取り組むべき多くの課題を提示しています。「台湾を研究する」ことから、「台湾と研究する」ことへ。こうした視座の転換は、今後の台湾研究にとって、ますます大きな意義をもってくるように思われます。台湾研究所では、こうした変わりゆく日台関係、変わりゆく台湾研究の現在を積極的に情報発信していきます。皆さんが今ご覧になっているホームページの他「早稲田大学台湾研究所」名でフェイスブックにも頁を開き、主催のワークショップや研究所員の研究活動を紹介していますので、是非一度訪問してみてください**。
**早稲田大学台湾研究所facebookページ

所長 梅森直之(早稲田大学政治経済学術院教授)

台湾研究所の目指す目標

台湾研究所は、第一期、第二期で掲げた目標「研究拠点の形成」「高度な人材育成」「台湾を対象とした教育体系の強化」の成果を踏まえ、第三期の目標として「研究・教育活動のグローバル化」、「 現実政治・社会へのフィードバック」を掲げ、台湾を中心とした東アジア地域研究の高度な教育研究拠点としての基盤整備・よりいっそうの拡充を図っていく。

①研究面に関する具体的方針

東京外国語大学、天理大学、名桜大学、独協大学など、本研究所スタッフの所属する大学/研究機関との緊密なネットワークを生かした活発な研究活動を展開し、台湾研究叢書シリーズ刊行の継続によってその成果を社会へのフィードバックとしていく。

②学部教育に関する具体的方針

学部における全学共通副専攻(テーマ・カレッジ)、大学院におけるオープン科目(地域研究としての台湾)、現代台湾研究(政治学研究科)など、入門から専門へ広く門戸を開き、深く体系的な教育を展開している。また学部成績優秀者の選抜による台湾大学への交換留学(ダブルディグリー)派遣留学制度を通じて、世界で通用する語学力と専門を兼ね備えた学生の育成を図る。

③研究人材育成に関する具体的方針

台湾大学歴史系・早稲田大学政治経済学部政治学科学生交流プログラム、台湾大学社会学院との学術交流(集中講義・意見交換会等)等を通じて、台湾との間でよりいっそうの教育・研究に関する交流拡大を目指す。 台湾研究を専攻する大学院博士課程学生へのプロジェクトRA制度、ポスドク制度など、若手研究者に対する支援も引き続き積極的に行いつつ、国内外から招聘した優秀な研究者と若手研究者らが協働で特別講座やシンポジウムを開催するなど、台湾地域研究の高度な教育研究拠点形成のための「研究・教育活動のグローバル化」をさらに進めていく。

組織・運営

大学関連組織ならびに既存の研究所等との密接な連携・協力を図っていく。

そのため、当研究所の管理、 運営および事業活動の企画・立案を担当する運営委員会を設置した。

このほかに事務局、研究プロジェクト毎の 研究会や セミナー等が組織された。

早稲田大学に所属する研究所を中心に、内外の研究機関(政府系研究機関・大学・民間シンクタンクなどを含む) の協力を積極的に求め、研究教育活動を通じて、大学を中心とした「知」のネットワーク化を図り、 従来とは異なる柔軟性と 効率性の高い運営を行うことを目指している。